2017年3月24日 (金)

愛することは守ること

 
 
救急車とパトカーが到着した頃には雨があがっていました。ゲリラ豪雨については前述した通りですが、どうやらこの雨もゲリラ豪雨だったようです。
 
 
 
被害者が救急車に搬送されるのを見て少しホッとしましたが、傷の程度から言うと、決して予断を許さない状態です。「何とか助かってくれ!」 という想いで見届けたあと、到着した警察官に私のほうから名乗り出ました。今更ジタバタしたところで仕方ありません。
 
「私が加害者です。」
 
警察官は現場の惨状を見て怒り心頭に発し、顔がプルプルと引きつっています。無理もないでしょう。それくらいの大事故ですから・・・
 
それでもその警察官、努めて冷静に振る舞おうとしていたのが見てとれました。そしてどのようにして事故に至ったのか、私に質問し始めたのです。
 
まずは私がどこから来てどのように走行し、被害者とどのように衝突したのか。その後どのような行動をとったのか、手短にですがきちんと話ました。
 
 
そして現行犯逮捕。
 
 
私は手錠を掛けられ、パトカーの後部座席に座らされます。逃走防止の為に両サイドには警察官が2人、私をサンドイッチする形で乗り込みます。
 
警察署までは5分ほどの道程です。前述した通り、私は暴力事件で前科がありますので、目的の警察署へ行くのはこれで二度目です。
 
パトカーの中で考えたことといえば、自宅で待っている犬猫のことです。お腹を空かして私の帰りを待っていることでしょう。しかし私は逮捕され、家には帰れません。なんという失態! もう完全に飼い主失格ですね。
 
 
後に刑務所での服役生活で気付いたことがあります。ペットに対する本当の愛とは何か?
 
それは
 
 
愛することは守ること
 
 
この一言に尽きるのではないかということです。
 
どんなにペットを溺愛していても、飼い主の不注意で事故死させてしまったとか、部屋を散らかしていたせいで異物を誤飲して亡くなってしまった、或いはペットの体調不良を飼い主が気付けずに病死したとか、飼い主のだらしなさが原因で小さな命を奪ってしまったケースもあるのではないでしょうか?
 
一度飼うと決めた以上、最後まで面倒を看るのが飼い主の務めですが、現実には日本のどこかで毎日たくさんの動物が殺処分されています。安易な気持ちでペットを飼い始めて飽きたから保健所に持ち込むとか、そのような飼い主が多いのかもしれませんね。
 
しかし今回の事故の結果で見れば、私もそのような酷い飼い主と大して変わりません。自分の身勝手な運転で人を撥ねて逮捕され、自宅に戻ることすら出来なかったのですから。
 
 
大切な命を守ることが出来なければ、生き物を愛す資格など無い!
 
 
 
生き物を愛するということは、即ちその命を守ることである。
 
 
 
綺麗事のように聞こえるかも知れませんが、それが私の出した結論です。
 
また、この言葉は動物を飼っている全ての人にも噛み締めて欲しいと思っています。
 
 
因みに我が家の犬猫は、私が拘留されている間に私の妻が引き取っていきました。その後、この事件が原因で私達は離婚。私はもう可愛いペット達に会うことができません。
 
それでもこの小さな命が失われずに済んで良かったと思っています。
 
後悔の念はありますが、これも自分の行為がもたらした結果です。諦めて全てを受け入れるしかない。
 
 
 
Dvc00364_2 Img_0296_3
 
 
 
 
しばらくして警察署へ到着し、まずは取り調べです。
 
取調室にはテレビドラマでよく見かける机とパイプ椅子があり、被疑者は必ず部屋の奥に座らされます。勿論それは、容易に逃げられないようにするためです。
 
そして調べの間は手錠を外されます。余談ですが、手錠をはめる時に警察官は 「きつくないか?」、「痛くないか?」 など、意外と親切にしてくれます。事件の被疑者だからといって粗雑な扱いはしません。もちろん警察官といえども同じ人間ですから、その被疑者の態度次第で当然扱いが厳しくもなります。
 
 
 
刑事事件で取り調べをするにあたって、まずは弁護士を選任できる権利が与えられます。弁護士は国が一定の報酬を支払う形で雇う 「国選弁護人」 と、報酬を全て私費で賄う 「私選弁護人」 の2種があり、特に指定が無ければ国選弁護人が付くことになります。
 
 
国選弁護人の場合は国が弁護士に報酬を支払ってくれる、つまり税金で賄われるので、個人が費用を負担することはありません。それに対して私選弁護人は、当然ながら費用の全てを自費で支払うことになるので、お金に余裕のある人は利用するほうが良いと思います。
 
国選は安い報酬で雇われるため、中にはあまりやる気を示さない弁護士もいるようですが、国選だから悪いということはありません。今は弁護士が増えすぎて仕事にありつけない者も出てきているようですからね。弁護士も同じ人間、良い人もいれば悪い人もいるということです。
 
そして国選でもその弁護士が気に入れば私選として任命することもできますし、逆に気に入らない弁護士ならキャバクラのようにチェンジすることも可能です
 
法廷では弁護士が居なくても裁判は成り立つものですが、起訴されて法廷に立たなければいけない場合、相手の検察官や裁判官はもちろん法律家ですから、やはり法律のプロである弁護士の存在は大きなものです。
 
 
また、取り調べというのは常に密室で被疑者と警察官の二人きりで行われ、その上に対話の内容を録音することもありませんから、そこで語られた内容が外に漏れることはありません。しかし、録音・記録されないからといって嘘をついてもバレないという考えは禁物です。録音はされませんが全ての発言を警察官が文章にしてパソコンに打ち込みます。
 
 
そこには取り調べをする側の勝手な解釈というのが常につきまとい、こちらが意としていない形で事実が形作られていくことも往々にしてあります。 
 
 
有ること無いこと全て取調官がいいように解釈し、それがそのまま調書となってしまいかねません。そのため、「弁護士が来るまでは何も話さない!」 という姿勢を貫く人もいます。
 
ほとんどの人は警察のお世話になることなど無いと思いますが、もし何かの事件に巻き込まれるなどして逮捕・拘留されることになった場合は、必ず弁護士ときちんと相談してから取り調べに臨んだほうが良いと思います。
 
ありがちなケースとしては、男性の場合は痴漢の冤罪などが考えられます。痴漢の場合は客観的な証拠が無い場合、多くは女性の主張が優先されると聞きますから、無罪を勝ち取るのは容易ではないでしょうが、自分一人で無理して頑張らず、弁護士に判断を仰ぐのが適当だと思います。
 
 
私の場合、お金が無いので国選弁護人を頼むことにしました。
 
 

«救急車よ、早く来てくれ!